日本財団 図書館


(2)点検と整備
運転中に弁腕室フタをはずして弁の回転状況を点検する。
分解状態では、弁頭の弁腕当りを目視して作動の良否を判断する。不良なものは仕組で交換する。

 

6)弁押し棒(プッシュロッド)
(1)構造と機能
タペットの上下(往復)運動をなめらかに弁腕に伝える働きをする。弁押し棒には慣性力およびばね荷重が働らく。高速回転時には荷重が大きくなるので圧縮荷重に対する十分なる強度が必要であると同時に剛性をたかめ変形量を少なくする必要がある。変形量が大きいと、回転数により弁開閉時期が変化し、高速時の吸・排気効率が低下したり、弁のおどりが発生し、吸入効率の低下、騒音その他の不具合が発生する。
このほか、慣性力を小さくするため重量を軽くし、また機関の過熱、過冷に対する熱膨張の少ない材料を使用することが望ましい。したがって形状としては径を大きく長さを短くした中空の構造となる。また機関作動時の温度で熱膨張による弁間隙の変化を少なくするためシリンダプロック、シリンダヘッド、弁腕軸受部の熱膨張による長さの増大量と弁押し棒および弁の熱膨張による長さの増大量に大きな差を生じないよう材料ならびに長さが考慮されている。
形状は、前述のように中空丸棒となるが、2・62図に示すように両端の形状は球面が多く用いられる。球面の形式には弁腕側を凸球面とするか凹球面とするかの2種があり、後者は弁腕に弁間隙調整ねじを設けるにも潤滑油供給にも都合が良いので多く用いられている。
弁押し棒の材料は、鋳鉄製シリンダブロックの場合は、一般に機械構造用炭素鋼管が用いられ、その両端は衝撃荷重を受けるため、CrMo鋼で作った前記球面部品を焼入れし、弁押し棒両端に溶接している。

 

079-1.gif

 

2・62図 弁押し棒の形状

 

(2)点検と整備
弁押し棒を定盤上に置き、転がしながらスキミゲージで曲りを測定する。曲りが使用限度以上の場合は修正する。また弁押棒両端の球面部分の偏摩耗についても点検す

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION